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楽園の坐禅

  • 執筆者の写真: 葵 品部
    葵 品部
  • 9月24日
  • 読了時間: 3分

たしが禅僧として、坐禅の伴走のために初めて海外にお招きいただいた先は、アフリカでした。

行き先はアフリカ大陸から1300kmほど東に位置する、インド洋に浮かぶ島々からなるセーシェル共和国。10日間のセッションとなりました。お招きくださった方は、サウジアラビア国籍の紳士。イスラム教を信仰されている方です。きっかけは、私が両足院で日々坐禅会を行なっていた頃、その紳士の御一行に対しプライベートで坐禅会を実施したこと。私が両足院を離れたことで渡航可能になったため、満を持してお招きいただき、海外でのプライベートセッション(坐禅の伴走)が実現しました。セーシェルは「地球最後の楽園」や「インド洋の真珠」と評されるのが頷ける、雄大で美しい自然のゆたかな島です。真っ白できめ細やかな砂浜、青い空、南国特有の植物、荒々しい巨石からなる山々、色とりどりの鳥たち、カラスより大きなコウモリ、見たことのない虫、原色の魚たち、巨大な象ガメ。雄大な自然のリズムに、そこにいる人間の営みも調和しているのでしょうか、出会う人は皆とても穏やかでゆっくりです。まさに絵に描いたような南国の楽園で坐禅する。私にとって全く初めての環境で坐る機会でした。私は日頃「いつでも、どこでも坐禅はできる」とお伝えしていますが、それを分かりやすく体現できる機会ともなりました。

セーシェルでの日々は美しく、学び多き時間でした。穏やかな波の音や風に身体を委ね、島と一つになろうと坐ったり。嵐の日には、荒ぶる雷を観察する坐禅をしたり。穏やかに身体と呼吸を詳細に観察し、自分の肉体の現状を確認したり。食事を共にしながら、禅や宗教、哲学、社会のことについて議論したり。親しい仲間たちと、ともに坐る時間を共有したり。そして一人夜坐し、夜のセーシェルに耳を傾けたり。

私をお招きくださった方と私とは、親子以上の歳の差があると思います。見てきた世界や経験してきたこと、現在置かれた社会的立場や宗教観など、それぞれの背景は違えどなんら対立することなく、坐禅を「技術」として誰でも実践できることが、改めて確認できた貴重な機会でした。坐禅だけについて言えば、私がそのやり方を技術としてお伝えし、共に坐ることで伴走させていただきました。しかし、自然をこころより愛し、誰に対しても信じられないほど謙虚で丁寧に応対なさる紳士の姿は、一人の人としての圧倒的な器量を感じさせるもので、坐禅以外のあらゆることについては、いうまでもなく私が学ばせていただくことが多く、本当にありがたい経験でした。


次はいつ、どの空の下で、誰と坐るのでしょうか。

本当にわくわくしています。

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品部東晟

 
 
 

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