梅の花は、まだ冬の寒い時期から咲き始めます。 雪が積もり白一色になった世界に小さな梅の花が咲いている様子は、私たちに多くのインスピ レーションをもたらしてきたようです。
梅花、雪に和して香ばし。
白梅の花と雪とが重なり白一色に調和している世界に、ほんのりと梅が香っている。 そんな冬の風景を描写した禅語です。
厳しい寒さに耐えて咲く梅の花の様子から、苦しみに耐えてこそ美しく花開く、あるいは、苦しみは避けるべきものではなく共にあるもの、など、励ましの意味で解釈されることが多いようです。
ところで、深く坐禅をしていると、自分と世界とが一つであるということを体験的に理解する、ということを経験します。
しかし、それを体験し理解したとしても、世界は相変わらずバラバラに見えるし、自我も意識も存在し、現実に私は私のままです。
この、「世界と自分は一つ」であることと「私は私」であることは、両立しない矛盾したことの ように思われます。言葉や論理の上でこれを両立させるのは、確かに難しいことのように思います。
しかし、現実の世界ではそれが実際に両立していると禅者は考えているのです。
多くの禅語は、この一見矛盾のような両立を表現するために、現実の象徴的な情景を切り取っていると、私は解釈しています。
梅花と雪が調和し一つになっている。 そして、雪の香りのなかに、梅の香りがほんのり香る。
解釈は自由。禅語は味わい深くて楽しいです。
品部 東晟

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